法制審議会-刑事法(危険運転による死傷事犯関係)部会が始まりました
- 条文見直しを求める会 危険運転致死傷罪の
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更新日:12 分前
危険運転致死傷罪の適用要件の見直しに向けて、法制審議会の部会による法改正の議論が3月31日から始まりました。
第1回で以下の様な発言をしてきました。
昨年行われた検討会に引き続きまして、自動車運転死傷行為等処罰法、とりわけ危険運転致死傷罪に関する法令や運用には、一般感覚との間に大きなギャップがある、その様に考える立場から発言をさせて頂きます。
検討会においては、法律家の先生方、実務家の方から高度に専門的な理論を伺い、素人である私が一般感覚的に理解をするのが難しいと感じること。あるいは反対に、私が思う、素朴におかしくないですか?と言う訴えを専門家の皆様に理解して頂くのが難しいと感じること。そうした場面が少なくなかったと言うのが、率直なところです。
本部会においても、専門家の皆様からすれば噛み合わない様な事を、私から申し上げる場面も多いかと思いますが、対話の姿勢を心がけたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
本部会では、飲酒類型、高速度類型について数値基準を設ける点とドリフト走行について議論が行われますが、昨年の検討会においては、この他にも、スマホながら運転など、危険運転致死傷罪として新たに類型を設ける必要があるのではないか?といった、実際に世間でも大きな問題となっている論点について検討がなされました。
しかし、残念ながら諮問は見送りとなった論点も少なくありませんでした。
そうしたなか、今回の大きな論点である、数値基準について、具体的な数値をどう設定するのか?これを考えるとき、例えば飲酒を例にすると、検討会の報告書には、呼気0.15、0.25、0.5以上といった数値の選択肢が考えられると記載があります。どこからを一発アウトと考えるか?幅があるわけです。
そうしたなかで、ある数値を決め置いた場合に、数値に満たなかった事案の処罰漏れの心配はないか?過失に落ちる結果になれば、それが、引き続き一般感覚とのギャップとして残されたままにならないか?といった点について、考えない訳にはいかないだろうと思います。
検討会において、高速度類型に関連して対処困難性という考え方を教えて頂きましたが、対処困難を起こすのは、何も高速度に限った話では無いだろうとも思いますので、そうした点もこの機会に議論の対象として頂きたいと思っています。
そもそも飲酒運転などは、一般的には分かっていてやったこと、すなわち故意だと理解されていると思います。
傷害罪・傷害致死罪に匹敵する高度な危険性がある行為を処罰するのが危険運転致死傷罪である、とのご説明を検討会で何度も伺いました。
しかし、結局のところ「傷害罪・傷害致死罪に匹敵する高度な危険性」とは何なのか?
というのは、いまだによくわかりません。
だからこそ、数値で客観的な基準を作れないか、と言う動きになっているのだと理解しています。
また、数値設定とは別の論点ですが、「傷害罪・傷害致死罪に匹敵する高度な危険性」と言う、一般的には理解が難しい考え方での立証ができなければ、直ちに過失犯に落ちてしまうと言う法体系で良いのか?と言う点にも大きな問題意識を持っております。
検討会においては、過失犯の中でも量刑のグラデーションは十分に手当されて来たと言うご指摘を頂く事もありました。
しかし、被害を受けたものとしては、外形的に明らかに悪質な運転による死傷事犯でも、国語的にイメージする「危険運転」には該当しません。過失犯です。と評価されることへの、強烈な抵抗感があります。これは、喪失したものから考えれば極めて自然な感覚だと思います。
私は、「過失」と言う評価も被害当事者にとっては、処罰漏れだと言う受け止めに繋がっていると思います。
遺族による訴因変更運動の展開がされる際に、「これは過失じゃないでしょ」といった訴えが真っ先に出てくることからも、この点は明らかだと思います。
また、検討会終了後の新聞各紙の社説にも、「飲酒を過失とするのは市民感覚からかけ離れている」とか、「社会常識とのズレ」、あるいは「法と常識との乖離解消を」などと言った言葉がありました。これらは、こうした点を指しての事だと思います。
今回、基準設定を議論する事によって、一般感覚と法令との間にあるギャップが改めて浮かび上がる場面も出てくる様に思いますので、その点についてもギャップ解消に繋がる様な積極的な議論を期待しております。

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